単層カーボンナノチューブ 構造・特性・用途及び安全性について


炭素原子は、いろいろな形で結合し得るため、物理特性の異なる同素体がいくつか存在します。既知の炭素同素体には、グラファイト(黒鉛)、ダイヤモンド、フラーレン、ナノチューブ、グラフェンがあります。そのうち、最後の3つは、人工的に作られる場合がほとんどです。

これらの炭素同素体が他の物質に添加された時、どのような影響を及ぼすかは、その炭素同素体がどのような過程を経て、どのように作られたかにより、大きく変わってきます。特性と利点の組み合わせが最善だと思われるのは、グラフェンとナノチューブです。

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)または、グラフェンナノチューブ(GNT)

グラフェン

多層カーボンナノチューブ(MWCNT)

ナノグラファイト構造物 (数層グラフェン、
グラフェンフレークまたはグラフェンナノプレートレット、酸化グラフェン(GO)、還元型酸化グラフェン(RGO)を含む)

グラファイト構造物(カーボンブラックを含む)

継ぎ目なく筒状に巻かれた単層のグラフェン。

ハニカム構造状に堅固に結合した単層の炭素原子シート。

継ぎ目なく筒状に巻かれ中心を同じくする複数層のグラフェン。

グラフェンフレークは、グラファイトの小薄片。GOやRGOは、ナノスケールの数層グラファイトで、GOは様々な酸素含有官能基を持ち、還元されるとRGOと呼ばれる。

幾層にも積み重なったシート状グラフェンの塊。

大量生産
(数百トン単位)

添加剤としては不適切(数キログラム単位)

大量生産 
(数千トン単位)

大量生産
(数千トン単位)

大量生産
(数百万トン単位)

これらのカーボン添加剤は、グラフェンを除き、どれも大量生産されており、工業用使用が可能です。


カーボンナノチューブ

カーボンナノチューブは、基本的に2種類に大別されます。単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)です。SWCNTとMWCNTには、もちろん類似点もありますが、構造的な違いから、物理的に大きな違いがあります。

決定的な違いをもたらすものは、SWCNTが単層のグラフェン層からできているという事実です。SWCNTは、シート状グラフェン1枚が継ぎ目なく巻かれた中空の筒だと言えます。そのため、グラフェンナノチューブ(GNT)と呼ばれることもあります。

それに対し、MWCNTは、中心を共にする複数のSWCNTの集まりだと言えます。つまり、直径の異なる継ぎ目のないグラフェンシートの筒が複数、1つの筒に収まっている状態です。

この単層と多層の物理的な違いは、それらが添加された材料に反映され、著しい物性の違いとして現れます。

例えば、ヤング率、すなわち、一方向の引張りまたは圧縮応力がもたらす変化に対抗しようとする物質の能力を表す縦弾性係数は、SWCNTの方が、MWCNTより10倍も優れています(図1)。


SWCNT対MWCNT パラメータ比較

パラメータ

SWCNTs

MWCNTs

基本データ

直径

1–2 nm*

7–100 nm

長さ

1mm**まで

1mmまで

アスペクト比

最大で10,000:1

50〜4,000:1

機械的強度

弾性率

1000–3000 GPa

300–1000 GPa

引張り強度

50–100 GPa

10–50 GPa

電子的性質

300Kでの熱伝導率

3000–6000 W/(m·K)

2000–3000 W/(m·K)

帯電防止添加剤として使用する場合の最低添加量

0.01%

0.5%

* 直径を大きくすることは可能だが、欠陥品が増える.
** 長さを伸ばすことは可能だが、研究所での試験生産スケールに限る


カーボンナノチューブの製造方法

カーボンナノチューブの製造方法には3種類があります。

  • • プラズマアーク放電法:ヘリウムガス内でプラズマアークを放電し、カーボンナノチューブを合成する。
  • レーザー蒸発法(レーザーアブレーション法):グラファイトにレーザーをパルス照射し、高熱反応によりカーボンナノチューブを合成する。
  • • 化学気相成長法:触媒(ニッケル、コバルト、鉄またはそれらの組み合わせ)を用いて炭化水素(メタン、エチレン、アセチレン)から炭素を堆積させる。

方法

プラズマアーク放電法

化学気相成長法

レーザー蒸発法

工程

グラファイトロッド2本を数ミリ間隔で設置し、高圧電流(〜100 A)を流すと、炭素が気化しプラズマアークが発生する。

基板の有無にかかわらず、メタンなどの炭素を含むガスをオーブン内で1,000℃までの高温に熱し、触媒上でカーボンナノチューブに還元する。

強度レーザーのパルス照射でグラファイトが蒸発し、カーボンナノチューブを合成する。

標準収率

30–90%

50–100%

最大で70%

SWCNTs

径0.6〜1.4 nmの短い筒

各径0.6〜2 nmの長い筒またはそれらの束(最長40 µm)

各径1〜2 nmの長い筒の束(5〜20 µm)

MWCNTs

内径1〜3 nm、外径10 nm以上の短い筒

外径10〜240 nmの長い筒

通常、本法によるMWCNTの収率は低い。性質に大きなムラ付きあり。

大量生産

本法で合成されるナノチューブは短く、サイズにばらつきあり。かなりの精製が必要。

商業的合成技術が最も確立されている本法は、容易に生産規模のスケールアップが可能。優れた収率・品質管理で高純度のSWCNTが得られる。

高価なレーザーを必要とする上、電力単位当たりの収率も悪いため、商業的に操業可能とは考えられていない。

欠点

本法では通常大量の不純SWCNT及びMWCNTが合成され、SWCNTには構造的な欠陥が生じる。

本法で合成されたMWCNTには、欠陥が多い。SWCNTの方がより良い品質管理が可能。

レーザーアブレージョンでは、主にSWCNTが合成されるが、直径の定まった、純度の高いものが少量できる。


カーボンナノチューブの商業的生産に向けて開発が最も進んでいるのは化学気相成長法である。

上記合成法では、ナノチューブの直径や長さといった形態の設定にある程度自由がきく。しかし、再現することは難しい。

現在、OCSiAl がSWCNTの生産をリードする。OCSiAlは、高品質SWCNTを年間数十トンというスケールで生産しており、生産量は数百トンへ増加する予定がある。


SWCNTのカイラリティと導電性

ナノチューブの幾何学的配列は、元となる六辺形構造のカイラルベクトルで決まります。自己組織化SWCNTの構造(カイラリティ)は導電性に影響を与え、導電性か半導電性であるかを決定します。

SWCNTのねじれは、カイラリティ・インデックス「n」及び「m」で表示されます。これは、六辺形構造がどの方向に曲り筒を形成するかを表すベクトル方向を示すものです。

添加したナノチューブによる電気抵抗の減少度は、添加量、ナノチューブの長さ、そしてナノチューブ内の導電性カーボンナノチューブの割合によって異なります。SWCNTにドーピングを行うことにより、導電性(金属的)ナノチューブの割合がほぼ3倍となります。


単層カーボンナノチューブの応用

SWCNTの汎用添加剤としての有用性はすでに実証されており、これまで不可能だった機能の組み合わせを持つ新しい製品が生まれようとしています。SWCNTは、現在知られている物質のすべてを改良できると言っても過言ではありません。導電性や帯電防止性を付加し、強度を増し、ひび割れ防止性を強め、柔軟性・接着性を増強する以外にも、用途に合わせて機能を向上させます。しかも、その機能向上を達成するために必要な添加量は、総重量の0.1%もしくは0.01%と非常に低濃度ですむため、ほとんどの場合、最終製品の生産に用いられている既存の技術がそのまま使用できます。

SWCNTの用途を分類する方法は、数種あります。使用される産業、材料、または製品による分類がよく用いられます。使用される製品によって分類する場合、SWCNTの使用量(必要量)によって、さらに分類できます。

SWCNT使用量が大きい材料は、強化プラスチック、業務用塗料、自動車タイヤ、ゴム製品、建設材料、電気化学電力向けで、これらに使用されるSWCNTがその需要の大半を占めます。SWCNT使用量における分類で、次ぎに来るのは接着剤、潤滑剤、帯電防止性プラスチック、透明導電性フィルム、そしてケーブルです。そして、ごく限られた量のカーボンナノチューブを使用するニッチ的用途もあります。


大きな可能性を秘めたSWCNT市場

単層カーボンナノチューブ含有コンポジット材料

SWCNT製造業者が最初に狙う市場は、代替エネルギー関連分野、インフラ関連(パイプ、建設材料)、自動車産業、及び航空機構造材料です。これらの分野では、軽量かつ機械的強度の優れた材料(風力発電タービンの羽根、船体、航空機部品、容器等)が要求されます。SWCNTでコンポジットの強度を上げることが可能となり、解決策の幅が広がっています。2, 3

SWCNT強化プラスチック

SWCNTにより強化されたプラスチックは多くの産業で多用されており、これら強化プラスチックを製造する企業は大きく業績を伸ばしています。SWCNT強化プラスチックの利用が顕著なのは自動車産業です。重量を減らすことにより、燃料消費またはバッテリーへの負荷を減らすことができるのがその背景にあります。また、航空宇宙産業においても、重量削減に加えて、極限状況や負荷に耐えうる材料が要求されますが、これらの要求は、SWCNTの使用により解決されます。4

SWCNT含有業務用塗料

本分野において、SWCNTは輸送機(自動車、航空機、船体等)用プライマー・塗料、機器用(家庭用電化製品)、貯蔵容器、5, 6, 7 さらに帯電防止床材にも用いられます。8 SWCNTは、業務用塗装市場に出回る商品の半分以上に使用できます。

単層カーボンナノチューブの自動車タイヤへの応用

SWCNTをタイヤに応用することで、タイヤの硬さ、引裂抵抗、燃費、グリップが大幅に改良されます。9 その改良は、非常に低い添加濃度で達成され、既存の生産設備に変更を加える必要もありません。SWCNTなら、他種の導電性フィラー(カーボンブラック等)を加えなくとも、要求される導電性をタイヤに付加することが可能です。S W C N Tが使用される可能性のある市場規模として、プレミアムグレードのタイヤなら市場の30%程度、標準タイプのタイヤなら市場の10%程度になるでしょう。

電気化学電源に貢献するSWCNT

電気化学電源に関して現在使われる技術のほぼ全てにおいて、SWCNTの使用が有益であることが示されています。この分野での代表的なSWCNT応用例は、充電型電源、電気自動車用リチウムイオン電池、そしてノートパソコンや携帯電話用バッテリー、さらにアルカリバッテリーです。バッテリーの電極にSWCNTを含有することにより、貯蔵密度やサイクル寿命等、電源の寿命に直接影響するパラメータが改良できます。10.

SWCNT使用の高機能ゴム製品

SWCNTの使用により、ゴム、シリコーン、熱可塑性エラストマーを基本材料とする幅広い製品群に技術的強みが加わります。ゴムコンパウンドの強度と弾性を向上させる一方、SWCNTはショア硬度、凝集力、動的強度、耐摩耗性の維持や、時には、向上を可能とし、ヒステリシス損を減少させ、製品の色を保持することも可能です。11 SWCNTは、高機能ゴム製品として出回る製品タイプの約3分の一に応用できます。

SWCNT含有建築材料

瀝青 、12 アスファルト、13 金属をベースとするコンポジット材料 14 にSWCNTを応用すると、材料の構造的特徴を調整しながら、性能を改善することができます。


適度な可能性を持つSWCNT市場

SWCNT技術の環境保護への貢献

環境保護産業では、ガスや液体濾過システムの一部として、SWCNTを使用して有害ガスや毒物を検知するシステムが開発されつつあります。これらシステムが商品化されれば、SWCNT使用品は、この分野の市場の3〜5%を占めることが予測されます。

生物工学・医学分野におけるSWCNT

生体分子(DNA・タンパク質)との化学的融和性のおかげで、SWCNTはバイオセンサーや医療機器の部品に使用可能です。SWCNTのインプラントへの使用試験によると、カテーテルや神経インプラントへも使用ができることがわかっています。生体内応用、特にSWCNTに薬物を包有した標的デリバリーシステムも開発中です。16

SWCNTを利用したエレクトロニクス・マイクロエレクトロニクス製品

SWCNTは、強靭であるにもかかわらず、優れた弾性と導電性を備えています。そのため、スマート・テキスタイル、トランジスター、RFIDチップ、データ保存デバイス、集積回路 、CMOSバッテリーといった多くのエレクトロニクス製品への応用が可能です。

SWCNT応用例は、上記にあげたものだけとは限りません。SWCNTを添加することにより、現在既知の材料の70%が改良されます。これは、市場価値で3兆ドルに相当します。多くの応用例は、試験においてその効果が実証され、特許取得の例もあります。

SWCNTの大量生産が始まり、実験室での結果を産業技術として利用し、新機能製品の大量生産が可能となりました。SWCNTの生産量が増えることは、コスト減を意味し、これにより、応用可能範囲は更に広がります。


単層カーボンナノチューブの労働安全性

SWCNTには他のカーボンナノチューブにはない柔軟性があるということは、ドイツ労働安全衛生研究所(BAuA)により実証されています。すなわち、SWCNTには、労働安全面や環境への影響において、他のカーボンナノチューブと全く異なる特徴があるということです。

肺に害を加えるか?

ある特定のSWCNT調査の結果によると、サイズが大きいため噴霧試験を行うことができず、凝集したSWCNTは肺の奥深くに侵入することができないという結論に達しました。SWCNTは柔軟で、剛性がなく、表面エネルギーを減らそうとする性質があります。さらに、凝集しようとする傾向があります。 国際癌研究機関(IARC)は、SWCNTを「ヒトに対する発がん性物質とは分類できない」物質だと分類しました。

Embedded into material matrix

消費者の曝露リスクを考える場合、消費者は、ポリマーを主体とするコンポジット材料と一体化した状態のSWCNTに接するだけなので、リスクはないと判断されています。SWCNTがポリマーコンポジットに強化材、あるいは導電剤として使用されている場合、強い凝集傾向に加えて、ポリマーに囲まれているため、もうナノ粒子のような様態を示すことがありません。たとえ、SWCNT添加のコンポジット材料が切削・研磨されても、純粋なSWCNTが放出されることはまずありません。出るのは、ポリマーと結合した凝集塊です。結論として、消費者のSWCNT曝露は無いに等しく、吸引のリスクまたは肌や口内曝露のリスクもないと思われます。 19

生態毒性

毒物学者が指摘する通り、20SWCNTはMWCNTやカーボンファイバーと異なり、高い柔軟性を持つため、生体細胞に害を加える可能性は非常に小さくなります。 MWCNTの海藻への影響を調べた研究では、急性毒性と慢性毒性の両方の存在が明らかになりました。21 SWCNTを用いた研究では、海藻に毒性影響は認められませんでした。22 これらの研究は、双方ともOECDの試験に関するガイドライン201に基づいて行われたものです。

登録とその他届出事項

2016年、化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規則(REACH)が、SWCNTを新物質として初めて登録しました。23

2019年、米国環境保護庁(EPA)が米国官報により発表した重要新規利用規則(SNUR)では、単層カーボンナノチューブに関しては、アメリカ合衆国全域に渡り、量に制限なく、販売が許可されています。


  1. L. Forro, et al. “Electronic and mechanical properties of carbon nanotubes”, in Science and Application of Nanotubes (Tomanek and Enbody, eds), Kluwer Academic/Plenum Publishers (New York, 2000).
  2. M. Ates, et al. Carbon nanotube-based nanocomposites and their applications. Journal of Adhesion Science and Technology, vol. 31(18), 2017, p. 1977–1997. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01694243.2017.1295625
  3. DataMIntelligence. Global Carbon Nanotubes Market 2019–2026. September 2019. https://www.datamintelligence.com/research-report/carbon-nanotubes-market
  4. F.-L. Jin and S.-J. Park. A review of the preparation and properties of carbon nanotubes-reinforced polymer compositess. Carbon Letters, 2011, vol. 12(2), p. 57–69. http://koreascience.or.kr/article/JAKO201120956424265.page
  5. C. Simpson. Carbon Nanotube-Based Coatings. Adhesives & Sealants Industry, May 2013. https://www.adhesivesmag.com/articles/91920-carbon-nanotube-based-coatings
  6. V. Vijayan, et al. The weldability study of carbon nanotube based 2nd generation primer coated steel for automotive applications. Journal of Mechanical Science and Technology, vol. 31(9), 2017, p. 4405–4410. https://link.springer.com/article/10.1007/s12206-017-0840-7
  7. S. Park and M. Shon. Effects of multi-walled carbon nanotubes on corrosion protection of zinc rich epoxy resin coating. Journal of Industrial and Engineering Chemistry, vol. 21, 2015, p. 1258–1264.
  8. V. Kravchenko. Single-walled Carbon Nanotubes. Fundamental Improvement in ESD Flooring with 0.01% Additive. Coatings World, 2017. https://www.coatingsworld.com/issues/2017-03-O1/view_features/single-wall-carbon-nanotubes/
  9. Y. Lu, et al. From nano to giant? Designing carbon nanotubes for rubber reinforcement and their applications for high performance tires. Composites Science and Technology, vol. 137, 2016, p. 94–101.
  10. P. Sehrawat, et al. Carbon nanotubes in Li-ion batteries: A review. Materials Science and Engineering: B, vol. 213, 2016, p. 12–40.
  11. Research proves single wall carbon nanotubes capable of significantly improving elastomer properties. Nanowerk, 2015. https://www.nanowerk.com/nanotechnology-news/newsid=39408.php
  12. A. Akbari, et al. Bitumen modification using carbon nanotubes. World Applied Sciences Journal, vol. 18(4), 2012, p. 594–599. https://www.idosi.org/wasj/wasj18(4)2012.htm
  13. M. Faramarzi, et al. Carbon nanotubes-modified asphalt binder: preparation and characterization. International Journal of Pavement Research and Technology,  vol. 8(1), 2015, p. 29–38.
  14. C. Isaza Merino, et al. Metal matrix composites reinforced with carbon nanotubes by an alternative technique. Journal of Alloys and Compounds, vol. 707, 2017, p. 257–263.
  15. W. Kim, et al. Development of a carbon nanotube-based touchscreen capable of multi-touch and multi-force sensing. Sensors (Basel), vol. 15(11), 2015, p. 28732–28741. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4701304/
  16. G. Bisker, et al. A pharmacokinetic model of a tissue implantable insulin sensor. Advanced Healthcare Materials, vol. 4(1), 2015, p. 87–97. First published: 31 July 2014. (Related news article in Nature journal at https://www.nature.com/news/nanotube-implants-show-diagnostic-potential-1.18219)
  17. J. Luo, et al. Electrically conductive adhesives based on thermoplastic polyurethane filled with silver flakes and carbon nanotubes. Composites Science and Technology, vol. 129, 2016, p. 191–197.
  18. Carbon Nanotubes. IARC Monographs, vol. 111. https://monographs.iarc.who.int/wp-content/uploads/2018/06/mono111-01.pdf
  19. Tests show no nanotubes released during utilisation of nano-augmented materials. The Dr. Gupta-Verlag. https://www.gupta-verlag.com/news/technology/20190/tests-show-no-nanotubes-released-during-utilisation-of-nano-augmented-materials
  20. L. M. Sherman. Single-Wall Carbon Nanotubes Show No Ecotoxicity. Plastics Technology, 26 October 2018. https://www.ptonline.com/blog/post/single-wall-carbon-nanotubes-show-no-ecotoxicity)
  21. K. S. Pikula, et al. Effects of carbon and silicon nanotubes and carbon nanofibers on marine microalgae Heterosigma akashiwo. Environmental Research, vol. 166, 2018, p. 473–480. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0013935118303049?via%3Dihub
  22. Turley, A. REACH registrant finds no aquatic toxicity for SWCNTs. Chemical Watch, 2 November 2018. https://chemicalwatch.com/71515/reach-registrant-finds-no-aquatic-toxicity-for-swcnts
  23. REACH Registration Completed for Single-Wall Carbon Nanotubes. PCI Magazine, 16 October 2016. https://www.pcimag.com/articles/102634-reach-registration-completed-for-single-wall-carbon-nanotubes